共通テスト「情報I」は令和7年度と令和8年度で何が変わったか
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大学入学共通テスト「情報I」は、令和7年度(2025年度実施)から本格的に始まった科目です。過去問の蓄積が少なく、対策情報も他科目に比べて薄いという声があります。
この記事では、大学入試センターが公式に無料公開している令和7年度・令和8年度(2026年度実施)の本試験問題を実際に取得し、大問ごとの構成と出題内容を比較しました。2年分だけの比較であり、今後も同じ傾向が続くと断定するものではありません。
大問構成・配点は2年とも変わっていない
まず確認できたのは、制度としての骨格が安定していることです。
| 大問 | 配点 | 令和7年度のテーマ | 令和8年度のテーマ |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 20点 | 小問集合5問 | 小問集合4問 |
| 第2問 | 30点 | 情報システム分析+シミュレーション | 情報システム分析+ビット演算 |
| 第3問 | 25点 | プログラミング | プログラミング |
| 第4問 | 25点 | データの活用 | データの活用 |
大問数(4)、配点比率(20/30/25/25)、全問必答という出題形式は、2年とも完全に一致しています。新設科目だからといって、毎年大きく形式が変わっているわけではありません。
一方で、各大問の中身を具体的に見ていくと、令和8年度は令和7年度より一段抽象度の高い思考を求める問題が増えています。以下、大問ごとに比較します。
第1問: 進数変換を実務寄りの題材で応用させる問題が増えた
令和7年度の第1問は、デジタル署名の役割、IPアドレスが128ビットになった理由、7セグメントLEDの組み合わせ数計算、チェックディジットの誤り検出、フィッツの法則(UIデザイン)という5つの独立した小問で構成されていました。
令和8年度は、記憶装置の速度・用途比較、情報セキュリティの正誤判定、そしてクロスステッチの図案を2進数から16進数に変換し、さらに桁を逆順にする、複数の変換を組み合わせて図案を合成するという問題が新たに登場しています。
令和7年度の7セグメントLED問題も組み合わせ計算という点では近い分野ですが、令和8年度は「変換Aを行った後に変換Bを行う(変換C)」のように、複数の処理を組み合わせて最終結果を求めるという一段抽象的な処理を要求しています。単純な計算量というより、処理の手順を追跡する力が問われる方向に変化しています。
第2問: 「1つのシステムを読む」から「複数の設計を比較する」へ
令和7年度の第2問Aは、高校生が職業体験で訪れた小売店のポイントカード情報システムについて、店長との会話文を通じて1つのシステム構成を読み取る問題でした。
令和8年度の第2問Aは、住民証明の発行システムを「紙媒体で受け取る→電子データを個人のPCで受け取る→アクセスコード方式にする→確認依頼コード方式にする」という4段階の設計案を順番に比較させる構成になっています。役所・請求者・提出先という関係者の役割が、設計を変えるごとにどう変化するかを追わせる問題です。
1つのシステムを正確に読み取らせる出題から、複数の設計案を横断的に比較し、それぞれのメリット・デメリットを検討させる出題へと、要求される思考のレベルが上がっています。
第3問: プログラムの効率を改善させる要素が加わった
令和7年度は工芸品の製作担当を割り当てるプログラム、令和8年度は来場者の待ち時間を求めるプログラムが題材でした。どちらも配列・繰り返し・条件分岐という基本構造を穴埋めさせる形式は共通しています。
令和8年度で目立つのは、プログラムの実行効率を改善させる設問です。「最長待ち時間が10分間以上になった時点で、それ以降の繰り返しをやめても結果は変わらない」ことに気づかせ、while文の条件を書き換えて早期終了させる処理を追加させています。単に動くプログラムを読み書きするだけでなく、「無駄な処理を減らす」という実践的な視点が加わっています。
第4問: 回帰直線による予測・補正が新たに登場
令和7年度は観光庁の旅行者数データを使い、尺度水準、棒グラフ・帯グラフ、散布図と相関係数、人口で正規化した指標、箱ひげ図・四分位数までを扱っていました。
令和8年度は気象庁の桜の開花日データを使い、オープンデータの扱いや欠損値の考え方に触れたうえで、散布図・相関係数・箱ひげ図に加えて、回帰直線を使って推定値を補正するという予測寄りの内容が新たに登場しています。
過去のデータから将来(あるいは未知の観測点)の値を推定する、という令和7年度にはなかった種類の思考が求められています。
2年を通して共通する出題の型
内容は変化していますが、2年を通じて共通する出題の型もあります。
- 第1問・第2問とも、会話文やストーリー形式で状況を提示し、そこから情報を段階的に読み解かせる構成
- 第4問は「基本的な統計量の確認→散布図・相関係数→箱ひげ図」という流れが両年で共通
- どの大問も、公式や用語を暗記しているかではなく、その場で提示された条件をもとに考えることを一貫して重視している
暗記型の対策よりも、初見の文章・図表を読み解く練習の比重を高める方が、この2年の傾向には合っていると考えられます。
参考: 数字にも表れている変化
ここまでの内容比較は、数字の裏付けもあります。大学入試センターの公式中間集計では、情報Iの平均点は令和7年度69.26点→令和8年度59.76点(9.5点低下)でした。平均点そのものは既に報じられている数字です。
あわせて、こちらで各大問の空欄記号(ア・イ・ウ…)の数を独自に数えました。大問別の内訳は他に見当たらず、この部分は記事独自の集計です。
| 大問 | 令和7年度 | 令和8年度 | 増加数 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 11 | 15 | +4 |
| 第2問 | 16 | 18 | +2 |
| 第3問 | 12 | 15 | +3 |
| 第4問 | 12 | 13 | +1 |
| 合計 | 51 | 61 | +10 |
単純な増加数より、元の数に対してどれだけ増えたか(増加率)を見ると、どの大問が最も強化されたかがはっきりします。
第1問(進数変換・セキュリティなどの小問集合)が+36%と最も増加率が高く、次いで第3問(プログラミング、+25%)です。この記事の前半で「第1問は進数変換の応用が増えた」「第3問はプログラムの効率改善が増えた」と内容面で見てきた変化は、増加率で見ても実際に大きい部類に入っており、印象と数字が一致しています。逆に第4問(データの活用)は内容面では回帰直線という新しい概念が加わった一方、設問数の増加率としては+8%と小さく、質的な変化(新しい概念の追加)はあっても、量的な負担増はそれほど大きくない大問だと言えます。
合計(51→61)は、河合塾・駿台・ベネッセの自己採点集計サービスに基づく報道が伝える「マーク数51→60」ともほぼ一致します。
情報Iの対策で今からできること
2年分の比較から、対策項目ごとに「令和7・8年度でどう扱われたか」「配点への影響」「優先度」を整理すると、次のようになります。
| 対策項目 | 令和7年度での扱われ方 | 令和8年度での扱われ方 | 配点への影響 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|
| 進数変換・ビット操作 | 7セグメントLEDの組合せ計算(1問) | 図案の2進→16進変換+複数変換の合成(より複合的) | 第1問20点の一部 | 高 |
| セキュリティ・ネットワーク用語 | デジタル署名、IPアドレス(2問) | 記憶装置、セキュリティ正誤判定、メール配信の仕組み(3問) | 第1問20点の大半 | 中 |
| 情報システムの設計読解 | 1つのシステムを読み取る | 複数の設計案を段階的に比較する | 第2問30点の半分程度 | 高 |
| 論理演算(AND/OR/NOT) | 出題なし(集金シミュレーションが中心) | 画像合成のビット演算として出題 | 第2問30点の半分程度 | 中 |
| プログラミング(読解・改善) | 配列・繰り返し・条件分岐 | 同左に加え、繰り返し処理の効率化 | 25点 | 高 |
| データの活用(基本) | 散布図・相関係数・箱ひげ図・尺度水準 | 散布図・相関係数・箱ひげ図 | 25点の大半 | 高 |
| データの活用(予測・欠損値) | 出題なし | 回帰直線による予測・補正、欠損値の扱い | 25点の一部 | 中 |
優先度「高」の3項目(進数変換・システム設計読解・プログラミング・データ活用基本)は2年とも配点の中心を占めており、まずここを固めるのが優先です。優先度「中」の項目は令和8年度で新たに比重が増えた分野なので、基本を固めたうえで演習量を増やす形が現実的です。
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FAQ
情報Iの過去問は何年分ありますか?
大学入学共通テストとしての本試験は、令和7年度(2025年度実施)と令和8年度(2026年度実施)の2年分です。試作問題・サンプル問題を含めればさらに遡れますが、実際の本試験としては2年分にとどまります。
情報Iは難化していますか?
内容面では、進数変換の応用・複数システムの比較・プログラムの効率改善・回帰直線など、令和8年度は要求される思考の抽象度が高い設問が増えています。平均点(令和7年度69.26点→令和8年度59.76点)や解答すべき空欄の数(51→60前後)の変化も、この内容面の変化と方向性が一致します。ただし2年分の比較であり「今後も難化し続ける」と断定できるものではありません。
情報Iの過去問はどこで入手できますか?
大学入試センターの公式サイト(大学入学共通テスト過去問題)で、本試験問題と正解が無料公開されています。私立大学の過去問と異なり、購入しなくても一次資料を確認できます。
大問構成は今後も変わりませんか?
令和7年度・令和8年度の2年間は、大問数・配点比率とも変わっていません。ただし2年分の実績のみに基づく整理であり、将来の出題形式を保証するものではありません。
出典・分析上の制限
- 大学入試センター公式サイト「令和7年度本試験『情報』」「令和8年度本試験『情報』」を2026-08-01に取得・精読
- 平均点: 大学入試センター「令和8年度大学入学共通テスト(本試験)平均点等一覧(中間集計)」(2026年1月21日発表)
- 解答数(マーク数): 河合塾・駿台・ベネッセの大学入学共通テスト自己採点集計サービスに基づく報道(51→60への増加)。本文中の空欄数集計(51→61)は、この記事の執筆にあたりこちらで独自に数えたもので、報道された数値とおおむね一致することを確認済み
- 大問別・設問別の配点内訳、正答率の公式集計は未入手
- 2年分の比較であるため、傾向の”継続”は断定していません。3年目以降のデータが公開され次第、分析を更新する予定です